―「幸せ」の専門家が指摘するFIREの落とし穴―

「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉を耳にする機会が増えました。
経済的に自立し、早期に仕事から自由になる――その響きは、多くの人にとって魅力的に聞こえます。

働いてもいいし、働かなくてもいい。
住む場所にも縛られない。
時間を自分の裁量で使える。

では、その“憧れの生活”は、本当に幸せなのでしょうか。


FIREとは何か ― その定義と魅力

FIREとは、十分な資産を築くことで、
生活のために働き続ける必要から解放される生き方です。

FIREが支持される理由は明確です。

  • 労働時間に縛られない
  • 働く・働かないを自分で選べる
  • 場所の自由が得られる

一見すると、「理想的な自由」が手に入るように思えます。


「お金=時間」という考え方の落とし穴

FIREを語る際、よく登場するのが
「お金は時間である」という考え方です。

この発想を象徴的に描いた作品が、
In Time です。

この映画では、人々は“時間”を通貨として生きています。
時間が尽きれば命も尽きる世界。
富裕層はほぼ不老不死に近く、貧困層は常に時間に追われます。

「お金(=時間)さえあれば幸せになれる」
――この考え方が、どこまで危ういものかを、映画は鮮やかに描いています。


FIREの先に待つもの

FIREは、不幸から逃れる手段にはなり得ます。
過重労働、望まない仕事、人間関係のストレス――
それらから距離を取ることは、確かに価値があります。

しかし、ここで一つ重要な視点があります。

幸せは「状態」ではなく、「経験」に過ぎない。

経済的に自由になっても、

  • 何のために生きるのか
  • 何に時間を使いたいのか
  • 誰と、どんな関係を築きたいのか

これらが曖昧なままだと、
FIRE後の人生は、思った以上に空虚なものになり得ます。


「幸せ」は目的ではなく、副産物

精神医療の現場で長年感じてきたことがあります。

幸せを目的にすると、
人はかえって不安定になります。

反対に、

  • 意味のある活動
  • 誰かとのつながり
  • 自分なりの役割

こうしたものに取り組んでいるとき、
結果として「幸せ」が後からついてくることが多いのです。

FIREはゴールではなく、
人生の選択肢を増やす一つの手段に過ぎません。


動画で詳しく解説しています

このテーマについて、YouTube動画でより詳しくお話ししています。
文章とは違ったニュアンスも含めて、ぜひご覧ください。


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