組香の愉しみ

これは、2011年8月、聖徳大学生涯学習課 聖徳大学オープン・アカデミー(SOA)が発行するSOA NEWS NO.38に、香道プログラム紹介のために寄稿したものである。

美登利、信如、霜の朝、水仙。或る年の11月に行った香席に登場した名前である。11月の「一葉忌」に相応しい香席として『たけくらべ』を題材に香を組んだ。特殊な事情を除けば、香席≒組香といっていいほど、組香は香道の重要な要素であり、数種の香木を数回焚き、その出現順序を当てるといった至極単純な香りあて遊戯を、芸術にまで足らしめ、僅か数ミリの香木から知的営みを引き出すことを成功させたのは組香の功績といっても過言ではない。これまでに、たけくらべは元より、銀河鉄道の夜、トゥランドットなど古典文学に囚われず、様々な分野から題材を探し、匂いだけでなく知的興奮を満たすことができる組香に腐心してきた。香道の愉しみは一生、尽きることはないのだ。

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