太陽の初日

これは、2015年12月23日、皆さまからいただいたお誕生日メッセージへの御礼としてfacebookに投稿したものである。

皆さん、お祝いの言葉、ありがとうございました。

今年は27年ぶりの転職に加え、経営企画部長へと役職と同時に業務が大幅に変わる大きな転機となりました。昭和11年、文化人としても著名な式場隆三郎氏によって創立された伝統ある式場病院において、経営企画部長という立場から、経営戦略の立案、遂行、課題解決などに多くの時間を費やし、その合間に診療をしているといったこれまでとはまったく異なった不思議な時間の使い方に翻弄され、ほんとあっという間の一年であったように思われます。

経営は人が動いてくれてなんぼのもんであり、新しい経営方針を職員にきちんと理解してもらい、こちらが最善であろうと考えた戦略通りにきちんと動いてもらうことが、一番重要だと思っています。そのため、毎月毎月、経営のイロハについて、私自身渉猟し、消化した知識を職員の皆さんにレクチャーを続けて来ました。

その中で最近、一番、心に残ったことは、「変わろうと思ったとき、新しいことを始めるのではなく、今までの何かをやめる」ということ。これはとても新鮮な発想でした。「流行の断捨離でしょ?」というツッコミもあろうかと思いますが、何かをやめることによって、変化が生まれる。この発想にどうして気づかなかったのかと、自分のバカさ加減に改めて気づかされました。

伝統のある企業もそうでない企業も、実はたくさんのムダな慣習を抱えています。ですが気づいても気づいていなくてもなぜかやめることなく延々と続けられている。それは個人についてもしかり。たくさんのムダな習慣を抱えて人は生きています。

今週の日曜日、かつての同僚のご家族と、今年産まれたばかりの男の子と昼食をともにしました。何を考えているのか憶測もさせない無邪気な赤ん坊を抱き、ただただ幸せな気分に浸らせてもらいました。

人は何も持たずに産まれて来ます。でもきっと幸せなんだろうと思います(もちろん分かりませんけど)。でも生きていくうちにたくさんのものを手に入れ、たくさんの経験をします。そしていつの間にか、自分の周りと自分の時間がたくさんのものによって囲まれてしまいます。有意義なものもあれば、そうでないものいもあるでしょう。

一方、人は土に帰るとき、何を持つことなく帰ります。つまり産まれて来たときと同じように、です。いざそのときが来たとき、自分は人生最大の幸せな気分で土に帰ることができるだろうか? どうしたら、そんな気分で土に帰ることができるだろうか、とふと考えたとき、結局、持っているものなんかではなく、どれだけ有意義なことをしてきたのか。そこに尽きるのかな、と思いました。

どんな歳になっても気づくことはたくさんあります。今年、一番、気づき、肝に銘じたことがひとつあります。それは、誰かの役に立つことを一生懸命しましょう、誰かが幸せになることを一生懸命しましょう、誰かが笑ってくれることを一生懸命しましょう、ってこと。これを自分の事業として時間を掛けてやっていけば、きっとものになる。そんな思いでこの一年、働いてきたように思います。

事業の効率を測る尺度として、ROEやROAというものがあるのですが、これは投下した自己資本や総資産がどれだけ効率よく収益を上げているかというもの。経営の観点からすれば、「人を幸せにする」事業に必要な資本は少なければ少ないほど効率がよいわけで、ムダが嫌いな私とすれば、投下する資本はなるたけ少なくしたい。で先ほどの男の赤ん坊のことを考えると、彼ほど資本効率の高い子はいないわけで、まさしく彼には完敗。だって資本ゼロであれだけみんなを幸せな気分にさせるわけですから。

12月23日。冬至の翌日であり、この日から昼の時間が伸び始めることから、僕は勝手にこの日を「太陽の初日」と呼んでいます。この日から、一日一日、何かを捨てること、止めることによって、自分にとって大切なものだけに囲まれてみようかと思っています。一年後には、今よりもずっと少ないものに囲まれて、でも誰かを幸せにする・自分が幸せになる、赤ん坊のような効率の良い人になれたら、と思います。

な~んて、考えているその横で、大量のふるさと納税で、お肉やお米で何かをもらおうとしている欲深な自分がいる。これだから人間を止められないんだよな。

長々と「太陽の初日」のご挨拶にお付き合いしてくださりありがとうございました。改めて、皆さんにとって良い一年であることをお祈りします。

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